
こんにちは。不動産相続アドバイザー鈴木です。
親の代から受け継いだ大家業。築年数が古くてなかなか空室が埋まらないというお悩みをかかえている方も多いのではないでしょうか。
『全国賃貸住宅新聞 第1292号(2017年10月16日)』の「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる TOP10」によると「単身者向け物件」「ファミリー向け物件」ともにダントツ1位が「インターネット無料」です。
ランキングが2つあって、ちょっとややこしいのですが「この設備が無ければ入居が決まらない TOP10」でも「単身者向け物件」で5位。「ファミリー向け物件」で9位と、「インターネット無料」の要望は高いですね。
「無料インターネット」でアパートの空室対策!みたいな記事も見かけますが、実際はどうなのでしょうか?
インターネットを導入する方法は、有線(固定回線)と無線(Wi-Fi/ワイファイ)の2通りありますが、今回は木造アパートに比較的低コストで導入できるWi-Fiによるインターネットについて考えてみましょう。
この記事は動画でも解説してます。良かったらご覧ください。
目次
木造アパートとWi-Fiの相性バツグン
木造や軽量鉄骨、ALCのアパートは電波を遮断しにくいのでWi-Fiとの相性がとてもよいのです。
工事に関してもWi-Fiの場合は各部屋にLANケーブルを設置する工事はいらないので、分電盤までの工事すれば、屋外にルーター(インターネットに接続するための中継機器)取り付けばおしまい。ほとんどの場合1日で完了します。
料金は、パソコン周辺機器メーカーで有名なバッファローさんがアパート向けに提供しているWi-Fiサービス「アパートWi-Fi」の場合は以下のようになります。
10 戸~12 戸で月々22,000円(税抜)
インターネット回線 + 工事費 + 機器代 + 6年間の保守メンテナンス費用(6年割賦)
6年間のトータルが税込みで1,710,720円ですから、かなりリーズナブルですね。
保守メンテナンス費用も込みですから、故障したときの修理費用も発生しませんし、 年中無休の電話サポートも用意されているようです。
ちなみにNTT東日本のマンションタイプ「フレッツ光ネクストマンション・ハイスピードタイプ」を入居者が個別契約すると、
プラン1(8世帯以上)で月々4,050円(税抜)
条件をそろえるため、こちらも6年で計算すると、税込みで314,928円となります。
この他にも工事費や機材の購入費用、プロバイダ料金もかかるので、実際には40万円くらいかかりますかね。
空室対策としてだけではなく、既に入居者がインターネットを個別契約してる場合も、この費用がまるっとなくなるのでお得感がだせます。
※料金は時期やキャンペーンの有無によって変る場合があります。
では、入居者にとってはどうなのか?
料金に関しては家賃や費用対効果などを加味しながら検討できますが、使い勝手についてはどうでしょうか。
こういう製品って寿命が短いよね
まず気になるのが契約期間が“6年”ってところですかね。一括払いのプランもあるようですが、いずれにしても長いこと使うことになると思います。
ところが!IT関連は技術の進歩がめちゃくちゃ早く製品の寿命がとても短いのです。最新の機材を導入しても、あっという間に型遅れになります。
導入直後は満足して使ってもらえると思いますが、2〜3年で不満が出てくるんじゃないかなぁ。
Wi-Fiにも何種類か規格があって、2017年12月現在の最新の規格がIEEE 802.11acという規格です。
この規格が採用され始めたのが2014年ごろで、この一つ前のIEEE 802.11nという規格は2009年ごろ。更にその前の規格が2003年ごろですから、およそ5〜6年おきに新しい規格が誕生してることになるので契約期間ギリギリですね。
ただ“ネットにつながる”だけではだれも喜ばない
最近ではスマホでもかなりの通信速度が出せるので、動画を観たりオンラインゲームで遊んだりしてもそれほどストレスを感じることはなくなってきました。
スマホだけでパソコンも同時にインターネットに接続できるテザリングという機能もあるので、インターネットの回線は必要なさそうに思えます。
ところがデータ通信量は増える一方なので、スマホの回線けで動画を観てると、すぐにデータ通信量制限にかかって通信速度が遅くなってしまいます。
スマホの料金プランにもよるのですが、3GBのプランで契約している場合、DVD画質(少し低い画質)で約3時間。
ひと月でドラマなら3話分。映画だと1本ちょっと。
めちゃくちゃ短いですね。映画2本目の途中で終了とか悲しすぎます。
そう考えると通信規制のない無料のWi-Fiがあるって便利ですね。
ところが!1本の回線を似たような生活サイクルの入居者全員で共有するわけですから、仮にインターネットが最も混雑する夜間、一斉に4K画質の動画を観始めたら。
それはそれはストレスがたまるでしょう。
この場合、残念ながら「無料だから仕方がない」とは思ってもらえません。
当たり前ですが有線ではつなげません
スマート家電(ネット家電)なんてのもありまして、さすがに冷蔵庫や洗濯機をネットにつなげてる人は少ないと思いますが、テレビやハードディスク/ブルーレイレコーダーは使ってる人も多いのではないでしょうか。
このテレビやレコーダーが以外とWi-Fiに対応してなかったりします。
古いゲーム機なんかもWi-Fiには対応してるけど、規格が合わずに接続できない場合もあります。
どちらのケースも機材を追加するなどで解消できる場合もあるのですが、専門家でないとちょっと敷居が高いですかね。しかもサポートの対象外の可能性が高いです。
まとめ
なんか最終的には導入しない方がいいみたいな内容になってますが、そういうわけではなくて、注目はされてますが「無料インターネット」を謳っている物件はまだまだ少ないので、今の時点では空室対策として導入すれば十分差別化が図れると思いますし、反対に回りが全部対応してるのに自分のアパートだけWi-Fiが使えないとなると、かなり苦戦することになるので、そういう場合は積極的に導入を検討してもよいと思いますよ。
いずれにしても、「低コスト」とか「差別化」とか安易に考えずに、入居者がどんなサービスを求めてるのかを良く考えて実施しましょうね。