
こんにちは。不動産相続アドバイザー鈴木です。
前回ご紹介した私が継続管理させていただいている資産家の方の事例『亡くなってから資産管理まで - (1)相続人の確定』の続きになります。
今回は「(2)亡くなってから納税までの流れ(3ヶ月目・4ヶ月目・10ヶ月目)」についてのお話です。
目次
本件の概要(相談者の状況と、ご相談いただいた経緯)
- 相談者のお父様がお亡くなりなりました。
- 相続人は相談者、そのお母さん、相談者のお姉さんの3人。
- 明らかに相続税がかかるだけの資産がある。
- お父様が亡くなってから私のところに相談に来るまでにすでに5ヶ月が過ぎていた。
相談者は先代からお付き合いのある税理士にお願いしていましたが、税理士が一方的に話しを進めるだけで、何の説明もなくかなりの不安を抱えていました。そこで私の知人の紹介で相談に来ていただき、今後の相続の進め方をお話して、正式に依頼していただきました。
亡くなってからの納税までの流れ
まずは相続の流れをご覧ください。
このように流れるわけですが、ポイントは3ヶ月目、4ヶ月目、10ヶ月目です。
相続の放棄または承認 – 亡くなってから3ヶ月目
3ヶ月目では大事な資産を「相続の放棄をするのか、承認するのか」を決断しなければなりません。
とくに放棄は早めの決断が大事です。資産のうちの借金が多い場合には相続しない方がよいことも多いですからね。借金が多くてその後も返済の目途が立たないときは放棄した方がよいでしょう。
もちろんすべてはありませんよ。返済の目途が立ちそうなときは放棄しない方がよい時もありますからね。
返済の目途が立つかどうかは、資産のうちのほとんどが不動産である場合が多いですから、やはり不動産業者に相談していくのがよいでしょう。
その際にも相続をよく知っている不動産業者に依頼してくださいね。ちょっと知っている程度で対応できるものではありません。
相続の放棄は家庭裁判所でおこなってください。窓口で相談すると案内されますから、本人が行って手続きしてくださいね。
本件の相談者の場合は借財がほとんどなかったので放棄はしませんでした。
ちなみに今回は私に相談があったのが5ヶ月過ぎていましたから、相続の放棄はできないということになりますが、まれにそれ相応の事由があり、相続放棄を認められる場合もあります。
本件の場合も5ヶ月経過していたとしても一定の条件のもとであれば、色々な事情を考慮して放棄が認められたかもしれません。
今まさにその環境に置かれている人は、すぐに家庭裁判所にいって手続きしてくださいね。経過していても放棄できるかもしれませんよ。
準確定申告 – 亡くなってから4ヶ月目
次に4ヶ月目では「準確定申告」をしなければなりません。
準確定申告とは、亡くなるまでの資産の申告をします。それは税理士にお願いすることが多いですね。だから相続の相談も税理士にお願いすることも多いのでしょう。
亡くなってから資産が増えたり、減ったりすることはありませんから、準申告で資産や収入の確定をしておくわけですね。それによって相続税額が決まってきますから。
相続税の申告と納税 – 亡くなってから10ヶ月目
10ヶ月目には「相続税の申告と納税」が待っています。亡くなってから1年も経過しない内に納税って早いですよね。
10ヶ月後には支払いができないといけないわけです。
本件の相談者も私のところに来たときは5ヶ月が経過していたわけですから、残り5ヶ月で何ができるか、じっくり考えてというわけにはいきませんでしたが、それでも万全の体制がありますから、しっかり対応させていただきました。
納税まで10ヶ月という制度はいかがなものかとは思いますが、お陰様で10ヶ月後にはきちんと納税していただいてます。
このように相続税の納税期限は亡くなってから10ヶ月になるわけです。
大切な親族が亡くなって悲しみも寂しさもままならないまま、すぐに通夜、告別式、初七日、四十九日とあっという間に1〜2ヶ月が過ぎて行きます。
そしてそれからすぐに3ヶ月の放棄または承認の判断、そしてその後の4ヶ月の準申告、10ヶ月の申告と納税となるのです。
今回はここまでになります。
次回は「(3)本件の税理士と私とでの相続税額の違い」についてお話させていただきます。
不動産相続事例「亡くなってから資産管理まで」
- 相続人の確定
- 亡くなってから納税までの流れ(3ヶ月目・4ヶ月目・10ヶ月目)
- 本件の税理士と私とでの相続税額の違い
- 相続財産の特定と調査
- 納税の準備
- 相続対策での新築住宅の正しい建て方
- 相続対策での新築アパートの正しい建て方
- 銀行融資の上手な使い方
- 上手な相続財産の分け方
- 資産管理